果糖の多い果物を食べると血糖値は上がる?
果糖はブドウ糖と同じ単糖類
「糖」と一口に言ってもいくつかの種類があり、小腸で吸収される糖というのはもっとも小さい単位である「単糖類」に限られます。(→糖の種類)
その単糖類の代表的なものがブドウ糖や果糖で、体内に入った糖は口腔や胃などを経て徐々に分解され、最終的に小腸で単糖類まで分解され吸収されるのです。
極端な話をすれば単糖類にまで分解されなければ糖は吸収されないことになり、小腸で糖を分解する「α-グルコシダーゼ」という酵素の働きを阻害し吸収を抑制するα-グルコシダーゼ阻害薬や、同じような効果のある食品であるサラシアや桑の葉といったもので血糖値の上昇を抑えることができます。
つまり単糖類を極力摂取しなければ糖の吸収を抑える方法があることになるためブドウ糖や果糖の摂取は避けたいと感じがちですが、それならば糖尿病の人は果糖を多く含む果物は食べないほうが良いのでしょうか?
果糖はどの程度血糖値を上昇させるのか?
代表的な糖であるブドウ糖は血糖値を上昇させる主なもので、ご飯やパンなどの炭水化物が分解されブドウ糖として吸収されるほかに、清涼飲料水などには多くのブドウ糖が含まれています。
そのため「低血糖の兆候が見られる場合は清涼飲料水を飲むのが望ましい」とされるほどで、分解という工程を必要としないブドウ糖を含む清涼飲料水は吸収が早く摂取後急激に血糖値を上昇させ、糖尿病やその予備群の人が500mlのコーラを飲むと血糖値が100mg/DL以上上昇することも珍しくありません。
そしてその清涼飲料水にはブドウ糖と同じく単糖類である果糖も含まれており、その果糖を多く含む果物は血糖値を急上昇させてしまいそうな印象を受けると思います。
しかし実際は果糖による血糖値上昇はブドウ糖に比べ穏やかかつ小幅なもので、その理由は果糖は肝臓によって多くが代謝されること、また果糖自体がブドウ糖に比べ小腸での吸収が緩やかであることが挙げられます。
そのうえ果物で果糖を摂取する場合は果物に含まれる水溶性食物繊維によってより吸収が抑制されるため、適量の摂取であれば血糖値の上昇は非常に穏やかで、果物のGI値が軒並み低いことなどからもそれが確認できます。
このように果糖は単糖類ながらブドウ糖と異なり血糖値を上げにくい性質を持っている上、果物での摂取では食物繊維による吸収の抑制も期待できることから、糖尿病の方も積極的に摂取するべき食品なのです。
■果物による果糖の摂取では豊富な食物繊維によってより吸収は抑えられる
果物や果糖の摂取の注意点
果糖はブドウ糖と違い血中に移行することは少なく摂取しても血糖値の上昇はほとんど見られないことから糖尿病の予防や対策はもちろん、ダイエット食品としても重用されています。
そんな糖尿病の救世主ともいえる果物や果糖ですが、だからといって摂り過ぎれば色々と悪い面も覗かせます。
下図は1日に必要なカロリーの25%のブドウ糖もしくは果糖が入った飲料をBMI25~35という肥満の男女32人に10週間にわたって飲み続けてもらった実験結果です。
ここでは同量かつ多量であればブドウ糖より果糖のほうが脂肪がつくことが示されており、血糖値を上げにくい果糖や果物だからといって過度に摂取すると太ることが見て取れます。
また、果糖の過度な摂取は尿酸値を上げ痛風のリスクを高めることも分かっております。
ただ勘違いしてほしくないのは、これらはあくまでも「過度な摂取」であり、どんな食べ物でもそうであるように適量を守っていれば害になるようなことはほとんどなく、むしろ果物は多くのビタミンやミネラル、食物繊維を含む体に良い食品であることは疑いようがありません。
■果物や果糖の適度な摂取であれば体に良い
何事も適度が重要
果糖は血糖値を上げにくい糖類で、それを多く含む果物はビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含む理想的な食品であることは間違いありません。
しかし「これが体に良い」という情報を仕入れるとそればかりを過度に摂取する人が少なからずおり、そういった極端な摂取ではどんなに体に良い食品でも悪影響が出てくるもの。
そもそも果物は必ずしも低カロリーというわけではなく過剰に摂取すれば太るのは当然ですし、太れば肥大した脂肪細胞によるインスリン抵抗性によって糖尿病が悪化するというのも当然の話です。
糖尿病の予防や治療にはカロリー制限やもちろん栄養バランスの取れた食事が求められ、それを守った上で果物を上手に取り入れれば糖尿病はもちろん健康にとって間違いなくプラスになります。
「体には良いけど摂り過ぎは逆効果」
果糖や果物に限らずすべての食品に言えることなので、様々な栄養素・食品をバランスの良く摂取する食事を心がけるようにして下さい。
血糖値を下げダイエット効果もあるSGLT2阻害薬
これといった自覚症状がないままじわじわと血管を蝕み続ける糖尿病。それだけに健康診断などで血糖値やHbA1cの高さを指摘されても放置している人は驚くほど多く存在するのが実情。
糖尿病治療は本来であれば食事療法と運動療法を軸に、補助としてインスリン注射や経口薬を用い血糖値を正常値もしくはそれに近い数値での安定を目指します。
そうすることで体重の減少・維持と血糖値・HbA1cの効果が望めるから。しかし現実問題として食事制限や運動療法は決して楽なものではなく、またそれを一生続けなければならないという終わりなき苦行でもあります。
そういった背景に加え、受診するのが面倒くさい、行くたびに医師に「痩せなさい」と言われる…などの理由から病院から足が遠のいている人も多いのではないでしょうか。
しかし、当サイトで口を酸っぱくして述べているように、糖尿病は様々な合併症を引き起こす極めて恐ろしい病気です。血糖値が高い状況はもちろん、糖尿病リスクを高める肥満も放置するべきではありません。
もしどうしても病院に行きたくない場合は、個人輸入代行業者を通じ、日本でも処方されているSGLT2阻害薬「フォシーガ」を購入するという方法も。
SGLT2阻害薬は血液中の糖を積極的に尿と一緒に排出するという画期的な糖尿病治療薬。
従来の経口薬のように細胞内に糖を取り込むインスリンに頼ることなく血糖値を下げられるため、1日250~400kcal相当のダイエット効果があることが複数の臨床試験で実証されています。
それだけに健康な人がダイエット目的で使用する事例が後を絶たないほど。
本来であれば医療機関を受診し、適切な治療と指導を受けたうえで治療薬を処方してもらうべきところ。しかしそれができないようであれば、最低でもフォシーガなどで血糖値や体重の低減を図ってほしいと感じています。
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