血糖値とヘモグロビンA1c(HbA1c)の診断基準
糖尿病の診断基準とは?
糖尿病には明確な診断基準があり、単純に「高血糖だから」といって即座に糖尿病と診断される事はありません。
かつては空腹時の血糖値を測り、そこで基準を超えていれば後日もう一度血糖値を測り直して判断するという方法が取られていましたが、近年は過去1~2ヶ月の平均血糖値を示すHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)の重要度が高まり、血糖値とヘモグロビンA1cの両方で基準を超えていれば即座に糖尿病と診断されるようになりました。
ではその血糖値とヘモグロビンA1cの基準というのはどうなっているのかを詳しく見ていきましょう。
血糖値の判断基準は?
会社や市区町村などで健康診断が行われる場合、多くの場合「前日夜9時以降は何も食べないで下さい」という注意があると思います。
この理由は胃の検査のためや空腹時血糖値を正確に測るためのもの。
空腹時血糖値を測る場合、一般的には10時間以上水以外の飲食を行わないのが基本となり、それを行い食事からの糖の吸収が完全に収まった状態で計測する事で比較的安定した数値を示します。
空腹時血糖値での糖尿病判断基準は以下の通り。
明確に数値にすると…
- ■正常 … 100mg/dL未満
- ■正常高値 … 100~109mg/dL
- ■境界型 … 110~125mg/dL
- ■糖尿病型 … 126mg/dL以上
ちなみに上図の下にある「負荷後2時間血糖値」というのは空腹時に75gのブドウ糖が入った水を飲み、2時間後に血糖値を測る事でインスリンの働きを調べ隠れ糖尿病などの発見にも役立つ「経口ブドウ糖負荷試験」という検査法の判断基準になっています。
■空腹時血糖値の理想は100mg/dL未満、126mg/dLを超えると糖尿病の疑い
ヘモグロビンA1c(HbA1c)の判断基準は?
HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)は過去1~2ヶ月間の平均血糖値を示す指標で、かつては血糖値検査の補助的なものでしたが、近年はその正確性や空腹時に限らず検査できる事から非常に重要視されています。
このヘモグロビンA1c、2012年4月以前までは日本独自のJDS値というものが使われていましたが、2012年4月以降は国際基準であるNGSP値が用いられるようになっています。
旧来のJDS値に比べNGSP値は0.4%高い数値が出るため、これまで糖尿病の判断基準だったJDS値でのHbA1c6.1%以上はNGSP値では6.5%になっており、いまだこの両数値が混同している事から注意が必要です。
それを踏まえた上でのヘモグロビンA1cの判断基準は…
上記のようにJDS値に0.4%を足した数がNGSP値という事になり、これが混同してしまうと判断を狂わせる結果となりますので、サイトや書籍などでHbA1cの値を調べる時はJDS値かNGSP値かしっかり書くにするようにして下さい。
また、各医療機関や医師、団体によって判断基準は微妙に異なり、多くの場合NGSP値で6%台は糖尿病予備群とされる事が多く、5.3%以下、5.5%以下くらいを正常範囲としている医療機関が多くなっています。
上記のような表などではHbA1cが6%台でも問題なさそうな表現がなされていますが、実際には6.5%以上で糖尿病型とされますし、6.0~6.4%で境界型…いわゆる「糖尿病予備群」となり、多くの医療機関では5%台前半~半ばまで望ましいとされています。
■多くの医療機関で6%台で糖尿病予備群に入り、正常範囲内は5%台半ばまで
血糖値とヘモグロビンA1cでの複合判断
冒頭でも触れたように現在は瞬間的かつ一時的な血糖値よりも長期間の平均値であるヘモグロビンA1cが重要視される傾向にあるものの、それでも糖尿病を診断する上で血糖値は非常に重要な指標で、現状ではHbA1cのみの基準値オーバーで糖尿病と診断される事はない一方、血糖値のみが基準値を超え再検査で再び超えたら糖尿病と診断されます。
診断したその日に糖尿病と診断が下る場合というのは…
- ■血糖値 … 126mg/dL以上
- ■HbA1c … 6.5%以上
この双方を満たしている場合で、どちらか片方しか満たさない場合は再検査の上で診断を下す事になり、具体的には以下の手順を踏む事になります。
糖尿病は一度かかってしまうと完治は難しく、健康的な生活を送るためには一生血糖コントロールを行っていく必要がある病気なので、とにかく「予防を心がける」「かかってしまった場合は少しでも軽度に留める」という事が重要になります。
血糖値を下げダイエット効果もあるSGLT2阻害薬
これといった自覚症状がないままじわじわと血管を蝕み続ける糖尿病。それだけに健康診断などで血糖値やHbA1cの高さを指摘されても放置している人は驚くほど多く存在するのが実情。
糖尿病治療は本来であれば食事療法と運動療法を軸に、補助としてインスリン注射や経口薬を用い血糖値を正常値もしくはそれに近い数値での安定を目指します。
そうすることで体重の減少・維持と血糖値・HbA1cの効果が望めるから。しかし現実問題として食事制限や運動療法は決して楽なものではなく、またそれを一生続けなければならないという終わりなき苦行でもあります。
そういった背景に加え、受診するのが面倒くさい、行くたびに医師に「痩せなさい」と言われる…などの理由から病院から足が遠のいている人も多いのではないでしょうか。
しかし、当サイトで口を酸っぱくして述べているように、糖尿病は様々な合併症を引き起こす極めて恐ろしい病気です。血糖値が高い状況はもちろん、糖尿病リスクを高める肥満も放置するべきではありません。
もしどうしても病院に行きたくない場合は、個人輸入代行業者を通じ、日本でも処方されているSGLT2阻害薬「フォシーガ」を購入するという方法も。
SGLT2阻害薬は血液中の糖を積極的に尿と一緒に排出するという画期的な糖尿病治療薬。
従来の経口薬のように細胞内に糖を取り込むインスリンに頼ることなく血糖値を下げられるため、1日250~400kcal相当のダイエット効果があることが複数の臨床試験で実証されています。
それだけに健康な人がダイエット目的で使用する事例が後を絶たないほど。
本来であれば医療機関を受診し、適切な治療と指導を受けたうえで治療薬を処方してもらうべきところ。しかしそれができないようであれば、最低でもフォシーガなどで血糖値や体重の低減を図ってほしいと感じています。
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