「1日30品目を摂取するべき」は間違い?
理想とされていた1日30品目だが…
理想の食事として昔から良く見聞きする「1日30品目」という言葉があります。
これはかつての厚生省が「健康のために1日30品目の摂取を」と呼びかけた事に端を発しますが、実は2000年あたりからこの文言は削除されています。
1日30品目というのは栄養バランスを整えるための便宜上の表現で、おそらくはこの言葉を通じて「バランスよく栄養を摂取しましょう」と当時の厚生省は言いたかったのだと推測されますが、これが削除されたという事は30品目は間違いだったのでしょうか?。
いまだ残る30品目神話とそれを否定する人の視点。それらを交えながら改めて30品目について考えてみたいと思います。
1日30品目は間違いだったのか?
厚生省が「1日30品目を推奨」という指針を発表し、これは“30品目”という分かりやすい数値が示された事もあって広く普及し、30品目が摂れる弁当や野菜ジュースなども各社から発売されました。
しかし一方で「30品目摂ったからといって栄養バランスが整うわけではない」「30品目に固執するあまりカロリー過多になる」といった声もあり厚生省は30品目の文言を削除したのだと推測されます。
確かに1日30品目を摂取するというのは難しく、またその数え方に関しても不明瞭な点が多いため批判的な意見が出るのは理解できます。
ただ、上でも書いたように厚生省は30品目という言葉を通じて多くの栄養素を摂り入れる事の重要性を言いたかったのであり、30品目という言葉だけを抽出し批判する動きというのは理解力に乏しく視野の狭い見方だと感じています。
ですからここではもう少し中立的な立場で見て行きたいと思います。
■30品目という言葉だけを取り出し叩く行為は視野が狭い考え方
品目の数え方が分からない
30品目が必要かどうかは置いておいて、その数え方って分かりますか?
実は品目の数え方には明確な規定はなく、何をもって1品目とするのか人それぞれ異なっているというのが実情だったりします。
一応目安を示しておくと…
- ■ご飯など1日複数回食べるものはまとめて1品目
- ■調味料は数えない(味噌やマヨネーズなどは数える?)
- ■チャーハンやレトルトカレーのような小さな具は数えない
- ■自宅で作る具がしっかり入ったカレーなどの具は数える
調味料は数えないとする意見もあれば、味噌やマヨネーズ、しょうゆ、砂糖、ドレッシングのようなカロリーのあるものは数えるという意見もありかなり混沌としているものの、個人的に品目に数えてよい調味料は栄養価がしっかりある味噌とマヨネーズくらいでしょうか。
細かい事を行ってしまえばカレーのルーに含まれるスパイスは20種くらいありますし、それを数えたらカレー一品で30品目近い数を摂取できることになってしまいます。
外食やレトルト・冷凍食品などに使われる小さな具まで数えれば30品目は比較的容易であるものの、小さいサイコロみたいな具が数個入っているだけで1品目と数えるのにも違和感を感じます。
あくまでも主観になってしまいますが、その食材の存在をしっかりと感じられれば1品目というイメージで良いと思います。
■調味料や小さな具など存在を感じない具は数えるべきではない
1日30品目は必要なのか?
結論から言うと1日30品目は必ずしも必要ではありません。
これに批判的な見方をする「30品目摂ったからといって栄養バランスが整うとは限らない」という意見は、“30品目”という言葉に狙いを定め叩くという言葉尻を捉えるような気持ち悪さは感じるものの、一方で確かに的を射ているからです。
極端な例を挙げれば、野菜のみで30品目を摂取したとしてもたんぱく質や脂質、糖質といった人体のエネルギーとなる栄養素は目に見えて不足しますし、逆に炭水化物や肉などで30品目食べてもビタミンやミネラルなどが不足すると共にカロリーもオーバーしがちになるでしょう。
30品目という数にこだわるよりいかに多くの栄養素をバランスよく取り入れるかが重要である事は間違いありません。
ただ様々な栄養素を取り入れるには多くの食材を使う必要があるのもまた事実であり、そういった意味では30品目という目安もあながち間違っていないと感じます。
■バランスよく栄養素を摂りいれる象徴として30品目というのは納得がいく
多くの栄養をバランスよく摂るには
多くの栄養素を取り入れるためにはある程度の数の食材が必要なのは間違いなく、そういった意味で30品目という目標を設定するのは理解できますが、自炊してみれば1日30品目を摂る事がいかに困難か分かります。
何も考えず食事を簡単に済ますと10品目くらいになってしまうなんてザラですし意識しても15~20品目ぐらいが限界で、本当に30品目を目指すなら多くの食材をストックできる金銭的余裕とそれをまんべんなく料理できるスキルと時間も必要になるでしょう。
現実的な範囲でバランスの良い食事を考えればご飯などの炭水化物、肉、魚、野菜をバランスよく使う事になるでしょうか。
メインのおかずとなるであろう肉や魚は毎食1品で計3品目、主食がご飯やパンなどで1~2品目と考え、後は納豆や豆腐、卵などを上手に使いつつ野菜を7~8品目あたりが現実的なものと考えます。
時間がある時に常備菜をいくつか作り冷蔵・冷凍しておくと後々楽ですし栄養バランスも整えやすくなるでしょう。
糖尿病である場合カロリーの制限もありますから野菜を意識的に増やしたり、安価で調理の簡単なもやしやこんにゃくを上手に活用する事で食事にボリュームが出ると同時に栄養もしっかり摂れカロリーも抑えられます。
野菜ジュースやサプリメントで栄養を補うという方法もありますが、野菜ジュースは思いのほか高カロリーですし、食品をしっかり咀嚼して吸収する食事と比べるとこれらの効果に大きな期待は出来ず、あくまでも補助と考えておくべきです。
自炊する上で30品目は確かに現実的な数字ではなく、また30品目摂ったからといって栄養バランスが整うとは限りませんが、たんぱく質や炭水化物、脂質、ビタミン・ミネラルを30品目でバランスよく摂れるのであれば確かに理想的といえます。
その理想に近づけるために現実的な範囲で多くの食材を利用し多くの栄養を摂取するように心がけてください。
血糖値を下げダイエット効果もあるSGLT2阻害薬
これといった自覚症状がないままじわじわと血管を蝕み続ける糖尿病。それだけに健康診断などで血糖値やHbA1cの高さを指摘されても放置している人は驚くほど多く存在するのが実情。
糖尿病治療は本来であれば食事療法と運動療法を軸に、補助としてインスリン注射や経口薬を用い血糖値を正常値もしくはそれに近い数値での安定を目指します。
そうすることで体重の減少・維持と血糖値・HbA1cの効果が望めるから。しかし現実問題として食事制限や運動療法は決して楽なものではなく、またそれを一生続けなければならないという終わりなき苦行でもあります。
そういった背景に加え、受診するのが面倒くさい、行くたびに医師に「痩せなさい」と言われる…などの理由から病院から足が遠のいている人も多いのではないでしょうか。
しかし、当サイトで口を酸っぱくして述べているように、糖尿病は様々な合併症を引き起こす極めて恐ろしい病気です。血糖値が高い状況はもちろん、糖尿病リスクを高める肥満も放置するべきではありません。
もしどうしても病院に行きたくない場合は、個人輸入代行業者を通じ、日本でも処方されているSGLT2阻害薬「フォシーガ」を購入するという方法も。
SGLT2阻害薬は血液中の糖を積極的に尿と一緒に排出するという画期的な糖尿病治療薬。
従来の経口薬のように細胞内に糖を取り込むインスリンに頼ることなく血糖値を下げられるため、1日250~400kcal相当のダイエット効果があることが複数の臨床試験で実証されています。
それだけに健康な人がダイエット目的で使用する事例が後を絶たないほど。
本来であれば医療機関を受診し、適切な治療と指導を受けたうえで治療薬を処方してもらうべきところ。しかしそれができないようであれば、最低でもフォシーガなどで血糖値や体重の低減を図ってほしいと感じています。
あわせて読みたい関連記事
糖尿病患者の平均寿命は健康な方に比べ平均で10年短いと言われています。しかしそれはあくまでも「平均」であり、しっかりとした治療を行い血糖値をコントロールできれば健康な方と変わらない寿命を全うできます…続きを読む
糖尿病の多くは血液検査での血糖値やHbA1cの数値で発見されますが、これらの数値が正常であるにもかかわらず高血糖の時間が長い「隠れ糖尿病」の場合があります。隠れ糖尿病は空腹時血糖値では表れづらいものの、食後に血糖値が跳ね上がり減少も緩やかという…続きを読む
糖尿病の診断するのに用いられるのは血糖値とHbA1cで、それぞれには明確な基準があります。10時間以上絶食し測る空腹時血糖値は126mg/dL以上、HbA1cは6.5%以上という基準を両方満たせば糖尿病と診断され、片方の場合は再検査を経て判断することに…続きを読む
糖尿病は全身の血管にダメージを与え血流を悪くする上に免疫力も低下するため歯周病の原因になります。そしてその歯周病から歯周病菌が血管を通して全身を巡り糖尿病や動脈硬化を悪化させるという悪循環を引き起こします…続きを読む
厚生労働省による最新の糖尿病の調査では糖尿病予備群の数は減ったものの糖尿病が強く疑われる人の数は増加の一途を辿っています。生活習慣に関するデータでは改善の兆しが見られるものの、その裏には高齢化が隠れていると推測されます…続きを読む
肥満である場合、肥満でない方に比べて糖尿病リスクは5倍になると言われています。しかし肥満のリスクはそれだけに留まらず高血圧や痛風、そして命に関わる心疾患や脳卒中のリスクも高め、特にBMI30を超えるとその傾向は顕著になります…続きを読む
糖尿病が進行し高血糖状態が続くとちょっとした傷でも治りにくくなってきます。それは神経障害を発症してる場合は足の切断に繋がる可能性があり、また手術が必要になった場合は傷の治りにくさや化膿のしやすさなど健康な人に比べ様々な不利があります…続きを読む
様々な合併症を引き起こすため放置すると怖い糖尿病。そんな糖尿病を早期に発見できる初期症状や自覚症状ってどんなものなのでしょうか?実は糖尿病には初期に自覚できる症状というものはなく、自覚症状が表れる頃には進行している場合が…続きを読む
糖尿病とは血液中のブドウ糖濃度が高い…いわゆる血糖値が高い状態が続く病気ですが、なぜ血糖値は高くなってしまうのでしょうか?血糖値が高くなってしまう仕組みと対策法を知り治療や予防に活かすようにして下さい…続きを読む
タバコを吸う事は糖尿病の発症や悪化のリスクを高めますが、一方で禁煙する事によって糖尿病の発症リスクが高まるという調査結果も存在します。それは国内外の信頼できるデータでも裏づけされており「禁煙なんかしないほうが…続きを読む