糖尿病性神経障害 手足のしびれは危険のサイン
3大合併症のひとつ「糖尿病性神経障害」
糖尿病は血液中のブドウ糖濃度が高くなってしまう病気で、その影響により動脈硬化を起こし全身に様々な悪影響を及ぼします。
それは「合併症」となって様々な病を引き起こし、そんな糖尿病の合併症の中でも代表的なものが3大合併症と呼ばれるものになります。
ここで取り上げる「糖尿病性神経障害」はそんな3大合併症のひとつで、もっとも早く自覚症状が現れる事の多いもの。
最初は軽い足のしびれから始まる糖尿病性神経障害は放置すればその範囲を広げ、最悪の場合足の切断に至るような怖い合併症なのです。
糖尿病性神経障害はどうやって起こるのか?
糖尿病という病を患い、高血糖状態を放置していると全身の血管がダメージを受け、末端の毛細血管が詰まってしまうなど細小血管から障害が出始め血流が悪くなっていきます。
全身の血流が悪くなると神経に十分な栄養が行き渡らなくなり、その障害は手足などの末梢神経から現れはじめます。
同時に高血糖状態が続くとブドウ糖から生成される「ソルビトール」という物質が神経細胞に蓄積され、血流不足とソルビトール蓄積の両面から神経障害が起こるとされています。
自覚症状を感じ始める頃は軽い足のしびれ程度なので放置しがちであるものの、適切な治療を行わず悪化してくると自律神経や運動神経にまで障害が広がってくる非常に怖い合併症なのです。
神経障害が起こる原因は高血糖状態が長く続くためで、血糖コントロールを行わず放置すれば徐々に、しかし確実に神経細胞は侵されていく事になります。
■ブドウ糖から生成されるソルビトールが神経細胞に蓄積し神経障害が発症
糖尿病性神経障害の末梢神経障害
糖尿病は自覚症状に乏しい病であり、何かしらの自覚症状が出だす頃にはかなり進行している状態といえ、そんな中でも最も早く自覚症状が現れやすい糖尿病性神経障害は、まず足のしびれから始まります。
そんな糖尿病性神経障害の初期症状は以下のようになります。
- ■両足先や足底のピリピリ、ジンジンとしたしびれや痛み
- ■手足の冷え
- ■足の感覚が鈍くなる
- ■虫が這っているような感覚
- ■こむらがえり(足がつる)
初期段階の足先や足底のしびれは徐々に中心に向かって広がってゆき、手にも現れるようになってきます。
さらに症状が進むとしびれから痛みに変わり、場合によっては夜も眠れないほどの痛みに襲われ、さらに進行すると感覚が無くなり痛み自体を感じなくなり、ちょっとした怪我では気付きにくくなってきます。
この頃には重度な糖尿病となっている事から、傷に気づかない上に免疫力が落ち血流の悪化から傷口の治癒に必要な血液が行き渡らないため傷口が悪化し壊疽を起こしやすくなり、最悪の場合足の切断に至る事も。
これは靴擦れ程度の軽い傷でも起こりえる事なので、神経障害が悪化している場合には傷が出来ていないかこまめにチェックする必要が出てきます。
■進行すると強い痛みを感じたり、もしくは感覚自体が無くなる
■小さな傷に気づきにくく創傷治癒遅延も相まって壊疽を起こし最悪切断も
糖尿病での自律神経障害とは?
糖尿病性神経障害が進行してくると手足などの末梢神経に留まらず自律神経にも障害が出始めます。
自律神経は心臓をはじめ胃や腸、肺、肝臓などすべての臓器の働きを調整し、無意識下で体を正常に保ってくれている大事な神経で、この自律神経に障害が出始めると体の調整が上手くいかなくなり様々な症状が出てくる事になります。
その影響は挙げだしたらきりがありませんが、主なものでは…
- ■動悸・息切れ
- ■便秘・下痢
- ■消化不良
- ■立ちくらみ・めまい
- ■インポテンツ(ED)
- ■胃腸の不調
- ■多汗・汗が出ない
- ■うつ病
自律神経はすべての臓器を調整しているため、そこに障害が起きると不定愁訴とも言える非常に様々な不調が出てくるのです。
また自律神経が乱れると交感神経や副交感神経のコントロールが上手に行えず、それによって交感神経が過度に高まり血糖値を上昇させてしまうという悪循環を引き起こす恐れもあります。
■自律神経の乱れによって交感神経が高まり血糖値が上昇する悪循環の恐れも
糖尿病性神経障害にならないために
糖尿病性神経障害は上記の末梢神経障害や自律神経障害以外にも筋力が低下したり萎縮したりする運動神経障害や顔面神経麻痺や外眼筋麻痺を引き起こす脳神経障害などもあります。
足の切断や全身の様々な不調に繋がる糖尿病性神経障害を起こさないためには、しっかりとした血糖コントロールが必要不可欠になります。
神経障害の初期症状である足のしびれが出ている時点で糖尿病はかなり進行しており、これを放置すればこれまでに挙げてきた様々な神経障害の症状に加え糖尿病性腎症や糖尿病性網膜症といった別の合併症が発症する可能性も高くなるでしょう。
それを回避するためには一刻も早い治療が必要となりますが、出来る事なら合併症などの自覚症状が現れる前にしっかりとした治療を受けるべきです。
初期の糖尿病であれば血糖コントロールも比較的容易になりますし、それがしっかり行えれば健康な方と変わりない生活が送れますので、定期的な健康診断を行い、そして糖尿病が見つかったら放置せずすぐに治療を始めるようにして下さい。
血糖値を下げダイエット効果もあるSGLT2阻害薬
これといった自覚症状がないままじわじわと血管を蝕み続ける糖尿病。それだけに健康診断などで血糖値やHbA1cの高さを指摘されても放置している人は驚くほど多く存在するのが実情。
糖尿病治療は本来であれば食事療法と運動療法を軸に、補助としてインスリン注射や経口薬を用い血糖値を正常値もしくはそれに近い数値での安定を目指します。
そうすることで体重の減少・維持と血糖値・HbA1cの効果が望めるから。しかし現実問題として食事制限や運動療法は決して楽なものではなく、またそれを一生続けなければならないという終わりなき苦行でもあります。
そういった背景に加え、受診するのが面倒くさい、行くたびに医師に「痩せなさい」と言われる…などの理由から病院から足が遠のいている人も多いのではないでしょうか。
しかし、当サイトで口を酸っぱくして述べているように、糖尿病は様々な合併症を引き起こす極めて恐ろしい病気です。血糖値が高い状況はもちろん、糖尿病リスクを高める肥満も放置するべきではありません。
もしどうしても病院に行きたくない場合は、個人輸入代行業者を通じ、日本でも処方されているSGLT2阻害薬「フォシーガ」を購入するという方法も。
SGLT2阻害薬は血液中の糖を積極的に尿と一緒に排出するという画期的な糖尿病治療薬。
従来の経口薬のように細胞内に糖を取り込むインスリンに頼ることなく血糖値を下げられるため、1日250~400kcal相当のダイエット効果があることが複数の臨床試験で実証されています。
それだけに健康な人がダイエット目的で使用する事例が後を絶たないほど。
本来であれば医療機関を受診し、適切な治療と指導を受けたうえで治療薬を処方してもらうべきところ。しかしそれができないようであれば、最低でもフォシーガなどで血糖値や体重の低減を図ってほしいと感じています。
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