糖尿病が妊娠・出産に与える様々な影響
糖尿病の女性が妊娠しても大丈夫?
女性にとって妊娠はかけがえのないもので、人生にとって結婚に並ぶ一大イベントでもあります。
しかし、糖尿病を患っている方、もしくはその恐れがある方で「妊娠を望んでいる」「妊娠の可能性がある」という場合、「もしかしたら糖尿病がお腹の子供に悪影響を与えるんじゃ…」と不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと糖尿病はお腹の胎児に悪影響を与える事は十分に考えられ、妊娠前~妊娠後の適切な血糖値コントロールを怠ると奇形児や障害児が生まれる可能性が高くなります。
かけがえのない我が子をそういったリスクから守るために出来る事とはどういったものなのでしょうか?
妊娠を望む場合、事前に糖尿病の有無を確認しておく
妊娠と糖尿病の関係を考えた時2つのパターンが考えられ、1つは「妊娠前から糖尿病だった」という場合、もう1つは「妊娠後に糖尿病の症状が表れた」というもの。
妊娠する前から糖尿病の兆候が見られる場合で、かつ妊娠を望んでいるのであれば、妊娠前から適切な血糖コントロールを行う事が望ましくなります。
というのも、妊娠初期の血糖値が極端に高い場合、胎児の「先天性奇形」の可能性が高まり、それはヘモグロビンA1c(HbA1c)が2012年から採用されている国際標準値であるNGSP値で7.4を超えると明らかに奇形児の頻度が高くなります。
NGSP値でのヘモグロビンA1cは6.5以上(旧JDS値で6.1以上)で糖尿病と診断され、6.0~6.4の間で糖尿病予備群となるため、比較的軽度の糖尿病、もしくはある程度血糖コントロールが行われていれば先天性奇形の確率が上がる事はほとんどありません。
この事から妊娠を望む女性が糖尿病である場合、妊娠前から血糖コントロールを行いヘモグロビンA1cを正常範囲内である5%台に近づける事を心がけて下さい。
■妊娠を望む場合、妊娠をする前から血糖コントロールを行う事が重要
妊娠中に糖代謝異常になる妊娠糖尿病
上では妊娠前から糖尿病であった場合の注意点を書きましたが、妊娠してから糖尿病ではないものの糖代謝異常が認められる「妊娠糖尿病」というものがあります。
これは多くは妊娠する事によって起こる体の変化に伴うもの。
妊娠すると胎盤などからインスリンの働きを阻害するホルモンが分泌される事もあって血糖値が上昇しやすい状況に置かれ、もともと肥満であったり、妊娠後急激に体重が増えた、家族に糖尿病の方がいて遺伝的に糖尿病になりやすい場合など特に注意が必要です。
妊娠糖尿病はしっかり血糖コントロールを行いケアすれば出産後正常に戻る事が多いものの、それを怠り高血糖状態が続けば出産後に糖尿病に進行する事もあるので、必ずしも楽観できるものではありません。
■しっかりと血糖コントロールができれば出産後正常に戻る場合がほとんど
妊娠中に高血糖になるとどんな影響があるのか?
妊娠中に母体で高血糖が続くと赤ちゃんにどういった影響があるのでしょうか?
まず妊娠初期に高血糖状態が続くと先天性の奇形になる可能性が高まり、その影響は骨や血管、消化器、神経にいたるまで様々な部位に起こる場合があります。
母体が高血糖状態だと、血液中に溢れたブドウ糖は胎盤を通じ胎児に流れ込む一方、インスリンが胎児に運ばれる事はないため、胎児が自身の膵臓からインスリンを分泌し血糖値を下げる事になるのですが、インスリンは成長因子でもあるので巨大児になりやすくなるリスクも。
母親の高血糖は胎児の高血糖にもつながるため悪影響や障害が出る恐れがあり、その影響は早産や流産、出産後の低血糖など様々です。
健康な我が子を産むためにも妊娠前~妊娠中は特にしっかりとした血糖コントロールを行うようにして下さい。
■影響は様々な部位に表れる先天性奇形や流産、早産など多岐に渡る
妊娠中の血糖コントロール法
高血糖によって胎児に悪影響を与えないためには妊娠前からしっかりとした血糖コントロールを行う必要があります。
妊娠前や妊娠後の軽度な高血糖であれば通常の糖尿病と同じく食事療法や運動療法を取り入れ血糖値をコントロールし、目標値は正常範囲となる「空腹時血糖値100mg/DL未満」「ヘモグロビンA1c5%台」です。
食事療法は具体的に…
- ■体内で糖になる炭水化物の制限
- ■栄養バランスを考えた食事
- ■摂取カロリーを計算ししっかり守る
これに加えてウォーキングなど30分程度の有酸素運動を取り入れる事で血糖値は大きく改善するはずです。
それでも思うように血糖値が下がらない場合、薬物療法では胎盤を通って胎児に運ばれてしまう恐れがあるためインスリン注射での治療となります。
■食事・運動療法で血糖値が下がらない場合はインスリン注射による治療に
お腹の子供や自身を糖尿病から守るために
近年は食生活の変化により比較的若年層でも糖尿病を発症している場合もあり、妊娠して検査したら糖尿病だった…というケースも増えています。
母体の高血糖は妊娠初期から胎児に悪影響を与えるため、妊娠を希望している方はもとより、妊娠の可能性がある状況に置かれている方は病院で検査を行い糖尿病の有無をお確かめ、仮に糖尿病であった場合は早期に治療を開始して下さい。
また、妊娠前は糖尿病ではなかったものの、妊娠後に妊娠糖尿病になってしまった場合、しっかりと血糖コントロールがなされていれば出産後元に戻る事が多いものの、妊娠糖尿病にかかる女性は糖尿病自体にかかりやすい体質である場合が多いので、出産したからといって油断は禁物です。
妊娠に関わる事のみならず糖尿病は非常に怖い病気なので、我が子のため、そして自分のためにも糖尿病にかからない生活を送るよう心がけ、万が一糖尿病であった場合はしっかりと治療を行うようにして下さい。
血糖値を下げダイエット効果もあるSGLT2阻害薬
これといった自覚症状がないままじわじわと血管を蝕み続ける糖尿病。それだけに健康診断などで血糖値やHbA1cの高さを指摘されても放置している人は驚くほど多く存在するのが実情。
糖尿病治療は本来であれば食事療法と運動療法を軸に、補助としてインスリン注射や経口薬を用い血糖値を正常値もしくはそれに近い数値での安定を目指します。
そうすることで体重の減少・維持と血糖値・HbA1cの効果が望めるから。しかし現実問題として食事制限や運動療法は決して楽なものではなく、またそれを一生続けなければならないという終わりなき苦行でもあります。
そういった背景に加え、受診するのが面倒くさい、行くたびに医師に「痩せなさい」と言われる…などの理由から病院から足が遠のいている人も多いのではないでしょうか。
しかし、当サイトで口を酸っぱくして述べているように、糖尿病は様々な合併症を引き起こす極めて恐ろしい病気です。血糖値が高い状況はもちろん、糖尿病リスクを高める肥満も放置するべきではありません。
もしどうしても病院に行きたくない場合は、個人輸入代行業者を通じ、日本でも処方されているSGLT2阻害薬「フォシーガ」を購入するという方法も。
SGLT2阻害薬は血液中の糖を積極的に尿と一緒に排出するという画期的な糖尿病治療薬。
従来の経口薬のように細胞内に糖を取り込むインスリンに頼ることなく血糖値を下げられるため、1日250~400kcal相当のダイエット効果があることが複数の臨床試験で実証されています。
それだけに健康な人がダイエット目的で使用する事例が後を絶たないほど。
本来であれば医療機関を受診し、適切な治療と指導を受けたうえで治療薬を処方してもらうべきところ。しかしそれができないようであれば、最低でもフォシーガなどで血糖値や体重の低減を図ってほしいと感じています。
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