血糖値は低ければ低いほど良いの?
血糖値が低いとどうなるのか
糖尿病は血糖が高い状態が続く病気で、高血糖は血管にダメージを与え動脈硬化や毛細血管障害を加速させ様々な合併症を引き起こします。
それを避けるため空腹時血糖値は110mg/dL未満、ヘモグロビンA1cは6.0%未満が好ましく、健康な人でも糖尿病を患っている方でも血糖値やHbA1cをこの基準内に収めておけば大きな問題は起こりません。
高い血糖値が危険である事は多くの方が既知の事実だとは思いますが、血管内のブドウ糖濃度が高い事によって様々な問題が起きるのであれば、血糖値は低ければ低いほど良いのでしょうか?
あまり語られる事のない低血糖について少し取り上げてみたいと思います。
低血糖とされる血糖値の基準と症状
健康診断などで示される血糖値の基準は、上に関しては多くの場合110mg/dL未満となっているものの下に関しては結構バラバラで、50mg/dL以上の場合もあれば70mg/dL以上の場合もあります。
ただ、血糖値は70mg/dLを下回ると下図のように様々な症状が表れ、場合によっては命の危険もあります。
血糖値 | 主な症状 |
---|---|
70mg/dL | 生あくび・悪心(吐き気)・空腹感 |
60mg/dL | だるさ・頭痛・冷や汗 |
50mg/dL | 倦怠感・集中力低下・動悸 |
40mg/dL | 顔面蒼白・ふるえ・紅潮 |
30mg/dL | 意識障害・異常行動 |
20mg/dL | 昏睡・けいれん |
低血糖で表れる症状や程度は個人差がありますので上図の主な症状はある程度前後する事はあるものの、50mg/dLくらいになると明らかな異変を自分でも感じるようになり、そこから血糖値が下がるに従って深刻な状態に陥ります。
体の司令塔である脳のエネルギー減はブドウ糖のみなので低血糖状態は脳に栄養が行き渡らない状況であり、血糖値が一定以上下がると吐き気や空腹感、動悸などによって「脳に糖が足りないよ」という警告が発せられ、それが進行すると脳が機能が低下し様々な症状が表れてくるのです。
糖尿病を患っている方で、インスリン注射を自分で行い倒れてしまう方がたまにいらっしゃいますが、これはインスリンを注射する事によって急激に血糖値が下がり意識がなくなってしまうからです。
意識を失い倒れるというだけでも十分危険ですが、それがもし車の運転中や危険な作業中だったら…と思うとゾッとしますよね。
■血糖値が50mg/dLくらいまで下がると明らかな異常を自覚する
なぜ低血糖になってしまうのか?
通常、食事をすれば血糖値が上がるものの、その後は膵臓からインスリンが分泌され血糖値は減少し、そしてある程度下がるとインスリンの分泌は減るようになっています。
逆に長時間飲食をしないような状況では過度に血糖値を下げないよういくつかの血糖上昇ホルモンが分泌され一定に保たれるため、健康な人であれば低血糖で問題が起きる事はほとんどありません。
一方、糖代謝異常である糖尿病では膵臓からのインスリンの分泌が少なかったりインスリン抵抗性によって効きが悪くなっている等血糖値のコントロールが上手くできない状態。
糖尿病は高血糖が問題の病気であって低血糖とは無縁のようにも感じますが、糖尿病を患っている方は健康な方に比べ低血糖に陥る可能性が格段に増えます。
特に注意すべきはインスリン注射や薬物療法を行っている場合で、血糖値を下げるためのこれらの治療が時に下げすぎる結果となってしまうのです。
ただ、糖尿病でない健康な人だからといって絶対に低血糖にならないとは限らず、もっとも身近な例としては飲酒時があります。
肝臓というとアルコールを分解する働きをする事で有名ですが、実は肝臓は血液中の血糖値が下がってきた時に糖を作り血糖値を維持する役目も担っており、過度にお酒を飲むとアルコールの分解で手一杯となり糖を作らなくなる結果低血糖に陥る場合があるのです。
もしインスリンなどの治療を行っている方が空きっ腹で糖質の少ないお酒を飲むと急激な血糖値減少により意識障害を起こす可能性が高まりますので、可能であれば禁酒、飲むにしても上手に血糖コントロールを行う必要があります。
■アルコール依存など大量にお酒を飲む人は低血糖症になる恐れも
低血糖症を回避するには
低血糖に陥る方の多くはインスリンや血糖値を下げる薬を使用している糖尿病患者の方で、それらを使用する事によって血糖値が下がりすぎてしまい低血糖症を引き起こします。
それを回避するためには用法・容量をしっかり守ると共に、食事量や運動量にも気を使い血糖コントロールを行う事で多くは回避できますが、それでも万が一低血糖の症状が表れた場合には直ちにブドウ糖を摂取する必要があります。
「とりあえず飴を舐めとけば~」なんて話も耳にしますが、飴ではブドウ糖の吸収が遅れるため適切ではなく、出来ればブドウ糖を直接摂取するのが望ましいものの、手持ちがなければ砂糖10g程度や一般的な甘めのジュース200mlほどで代用できます。
ブドウ糖やジュースを摂取する事で多くの場合10~20分ほどすれば低血糖の症状は収まってきますが、急激に血糖値が減少している状況下では改善しない場合もありますので、そういった場合はさらにブドウ糖等を摂取します。
低血糖により意識が無くなり倒れてしまう方も少なくなく、それが万が一車の運転中だったり人のいない場所であったりした場合は非常に危険です。
糖尿病でインスリン注射や薬での治療を行っている方は食事などにも気を付け、万が一の事態に備えブドウ糖や250ml缶のジュースを常に持ち歩くようにした方が良いでしょう。
血糖値を下げダイエット効果もあるSGLT2阻害薬
これといった自覚症状がないままじわじわと血管を蝕み続ける糖尿病。それだけに健康診断などで血糖値やHbA1cの高さを指摘されても放置している人は驚くほど多く存在するのが実情。
糖尿病治療は本来であれば食事療法と運動療法を軸に、補助としてインスリン注射や経口薬を用い血糖値を正常値もしくはそれに近い数値での安定を目指します。
そうすることで体重の減少・維持と血糖値・HbA1cの効果が望めるから。しかし現実問題として食事制限や運動療法は決して楽なものではなく、またそれを一生続けなければならないという終わりなき苦行でもあります。
そういった背景に加え、受診するのが面倒くさい、行くたびに医師に「痩せなさい」と言われる…などの理由から病院から足が遠のいている人も多いのではないでしょうか。
しかし、当サイトで口を酸っぱくして述べているように、糖尿病は様々な合併症を引き起こす極めて恐ろしい病気です。血糖値が高い状況はもちろん、糖尿病リスクを高める肥満も放置するべきではありません。
もしどうしても病院に行きたくない場合は、個人輸入代行業者を通じ、日本でも処方されているSGLT2阻害薬「フォシーガ」を購入するという方法も。
SGLT2阻害薬は血液中の糖を積極的に尿と一緒に排出するという画期的な糖尿病治療薬。
従来の経口薬のように細胞内に糖を取り込むインスリンに頼ることなく血糖値を下げられるため、1日250~400kcal相当のダイエット効果があることが複数の臨床試験で実証されています。
それだけに健康な人がダイエット目的で使用する事例が後を絶たないほど。
本来であれば医療機関を受診し、適切な治療と指導を受けたうえで治療薬を処方してもらうべきところ。しかしそれができないようであれば、最低でもフォシーガなどで血糖値や体重の低減を図ってほしいと感じています。
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