AGEは糖尿病にどう影響するのか?
あまり聞きなれないAGE(終末糖化産物)
みなさんAGE(終末糖化産物)ってご存知ですか?
これは端的に言うとたんぱく質と糖が結びついたもの、加熱され生み出されるもので、語源は「Advanced Glycation End Products」の頭文字を取ったものの略、種類が複数あることからまとめて「AGEs」と呼んだりもします。
このAGEsは人間の老化に関与しているとして近年注目され、また糖尿病とも深い関わりがあり高血糖の人はAGEを作りやすいと言われています。
糖尿病の人は決して無視できないAGE。これは具体的にどういったもので、我々の体にどういった影響を与えるのでしょうか。
AGEsはどうやって生み出されるのか
AGEはたんぱく質と糖が結びついたもの、加熱され生成されたものと前述しましたが、これが作り出され体内に蓄積する経路は2つあり、1つは体の中で作られる「内因性」のもの、もう1つは食品を加熱した際に作られる「外因性」のもの。
内因性のAGEsは血液中のブドウ糖がたんぱく質と結びつき様々な反応を経て糖化し作られるもので、一方の外因性のものは調理の過程で多く生み出され、特に肉や卵といった動物性のものを「焼く」「揚げる」という高温の調理をおこなうことで急激に増加するとされています。
血液中の糖濃度が高い糖尿病では活発にAGEsが作り出されることが分かってきており、糖尿病に限らず高脂血症、高血圧といったメタボリック症候群に多く見られる状況ではAGEが多く生成されます。
外因的な摂取にあたる食事面では実に様々な食品にAGEsが含まれているものの、焼いたり揚げたりすると調理時間に比例してその数は急激に増えるとされ、一方で煮る、蒸す、茹でるといった日本食に多く見られる調理法ではAGEsはあまり増えません。
つまり、メタボリック症候群で、なおかつ焼いたり揚げたりした肉を好む人はAGEsが非常に多い状態となり、逆に野菜を多く取り入れ健康的な生活を送っている人のAGEs量は少ないと推測されるのです。
また、タバコやお酒にもAGEsが含まれているとされ、喫煙や飲酒をおこなう人はそうでない人に比べAGEsの量が多いことが分かってきています。
■肉や卵といった動物性のものを焼いたり揚げたりするとAGEsは急増する
AGEs(終末糖化産物)の影響とは
AGEsは様々なAGEの総称で、人間の老化に深くかかわっているとされています。
中でも血管内で生み出されたAGEsは血管壁に蓄積し動脈硬化を促進させ、糖尿病の人の場合は様々な合併症のリスクが高くなってしまいますし、そうでない人でも脳卒中や心筋梗塞といった血管疾患のリスクを有意に高めます。
またたんぱく質の一種で体の様々な部位に欠かせないコラーゲンがAGEs化することが分かっており、それによって肌や関節などの老化を早めてしまいます。
恐ろしいのはAGEsは一度蓄積すると除去することが困難なので加齢とともに延々と蓄積され続けることになり、これが老化の大きな原因なのではないかとする見方もあるほどです。
糖尿病の合併症、動脈硬化などのほかにもアルツハイマー型認知症など脳から臓器、骨に至るまで様々な病気を引き起こしているとする研究結果もあり、日本の死因第1位である「がん」の発症にも関わっているとも。
糖化を防ぐことが老化や病気の発症を遅らせるとしてAGEsは今注目を集めているのです。
■AGEsは脳や臓器、骨、関節、肌など様々な部位に悪影響を及ぼすと見られる
AGEsを溜めないための生活とは
当サイトのテーマである糖尿病は内因的にAGEを大量に作り出す大きなリスクとなりますので、AGEを体内に蓄積させないためには糖尿病の治療が何より優先されます。
糖尿病の治療をおこなえば高血糖はもちろん高血圧や高脂血症、肥満の改善にも繋がるので、内因的なAGEsの生成はかなり抑えられるはずです。
食事面では肉を中心とした食事を避け、煮たり茹でたりといった調理法を積極的に用いることで外から体内に取り込むAGEの量を減らすことができるでしょう。
結局はカロリー制限とバランスの良い食事を心がける糖尿病向けの食事療法をしっかりとおこなえばAGEsの蓄積は大幅に抑えられることになりますので、結論としては「糖尿病をしっかり治療しなさい」ということになるでしょうか。
AGEs(終末糖化産物)のまとめ・総評
近年注目されているAGEs(終末糖化産物)についてここまで取り上げてきましたが、AGEに関しては分かっていないことも多く、AGEの蓄積を抑えるための健康食品やアンチエイジング商品を売るための体の良い煽り文句になっている面も否めません。
というのも、AGEsが大量に生成、蓄積される原因は糖尿病や高血圧などメタボリックシンドロームに代表される疾患、肉食、揚げ物、タバコ、お酒など一般的に言われる「体に悪いもの」が凝縮されており、AGEうんぬんを持ち出さなくともこれらが寿命を縮めたり老化を早めたりすることは誰もが分かっているはず。
確かにそれらが体に悪い背景にAGEsが関わっているのかもしれませんが、従来の「健康的な生活を送る」と「AGEsを溜めない生活」はほぼイコールです。
目に見えた悪者を作ると人はそれを過度に恐れ対策しようとする傾向があり、そこにビジネスチャンスがあるため、AGEsの研究に目を付けた企業などが過度に不安を煽り、それに多くの人間が乗っかっている面もあるでしょう。
AGEsが体に悪影響を及ぼすことは間違いないものの、そればかりに目を奪われると広い視野での健康を見失う可能性があります。
AGEに踊らされずしっかりとした糖尿病予防・治療をおこなうことで、結果としてAGEsの蓄積は抑制されることになるでしょう。
血糖値を下げダイエット効果もあるSGLT2阻害薬
これといった自覚症状がないままじわじわと血管を蝕み続ける糖尿病。それだけに健康診断などで血糖値やHbA1cの高さを指摘されても放置している人は驚くほど多く存在するのが実情。
糖尿病治療は本来であれば食事療法と運動療法を軸に、補助としてインスリン注射や経口薬を用い血糖値を正常値もしくはそれに近い数値での安定を目指します。
そうすることで体重の減少・維持と血糖値・HbA1cの効果が望めるから。しかし現実問題として食事制限や運動療法は決して楽なものではなく、またそれを一生続けなければならないという終わりなき苦行でもあります。
そういった背景に加え、受診するのが面倒くさい、行くたびに医師に「痩せなさい」と言われる…などの理由から病院から足が遠のいている人も多いのではないでしょうか。
しかし、当サイトで口を酸っぱくして述べているように、糖尿病は様々な合併症を引き起こす極めて恐ろしい病気です。血糖値が高い状況はもちろん、糖尿病リスクを高める肥満も放置するべきではありません。
もしどうしても病院に行きたくない場合は、個人輸入代行業者を通じ、日本でも処方されているSGLT2阻害薬「フォシーガ」を購入するという方法も。
SGLT2阻害薬は血液中の糖を積極的に尿と一緒に排出するという画期的な糖尿病治療薬。
従来の経口薬のように細胞内に糖を取り込むインスリンに頼ることなく血糖値を下げられるため、1日250~400kcal相当のダイエット効果があることが複数の臨床試験で実証されています。
それだけに健康な人がダイエット目的で使用する事例が後を絶たないほど。
本来であれば医療機関を受診し、適切な治療と指導を受けたうえで治療薬を処方してもらうべきところ。しかしそれができないようであれば、最低でもフォシーガなどで血糖値や体重の低減を図ってほしいと感じています。
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