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糖尿病性壊疽などに用いられるマゴットセラピー


おぞましいが有効な糖尿病性壊疽の治療法

壊疽に対するマゴットセラピー 糖尿病が進行すると3大合併症の1つである糖尿病性神経障害によって足先の傷に気づきにくくなる事に加え、アテローム性動脈硬化や免疫力の低下などによって血流が悪化し傷が治りづらい上に傷自体も悪化しやすくなるため、細心の注意を払っていないと足の皮膚や組織が死滅・腐敗する「糖尿病性壊疽」が起きやすくなります。

そのまま放置すると壊疽部分が広がり足の切断を余儀なくされるなど深刻な状況に陥る可能性もあります。

そんな恐ろしい糖尿病性壊疽に対し一部の病院では「マゴットセラピー」という治療法を採用し実績を上げています。

マゴットセラピーとはハエの幼虫である蛆(うじ)を使う治療法で、それを聞くだけでもおぞましさを感じるマゴットセラピーは画像にすると人によっては強い不快感を示すと思われますから、上記の画像はちょっと可愛らしい(?)イラストに留めました。

ただ、感情的な嫌悪感を除けばマゴットセラピーは欧米を中心に結果を残しており、日本の一部医療機関でも採用される期待の治療法なので、神経障害に悩む方などに向けてマゴットセラピーを詳しく取り上げてみたいと思います。

マゴットセラピーとは?

マゴットセラピーとはその名の通りハエの幼虫である蛆(うじ、マゴット)を用いる治療法で、日本ではほんの一部の医療機関でしか行われていないものの、アメリカでは広く普及し2000を超える医療機関で行われています。

蛆には腐った組織を選択的に食べる性質があり、蛆が出す分泌液によって腐敗した組織を溶かして食べる一方、その分泌液は健康な組織にはほとんど無害であるため、蛆は壊疽した部分のみを綺麗に取り去ってくれます。

また蛆が出す分泌液には抗菌作用もあり、菌の繁殖によって壊疽が広がる事を抑制する効果も期待できるため一石二鳥なのです。

治療に使用される蛆は専門業者によって無菌状態で繁殖されたものを用いるため蛆からの感染症の恐れもなく安心です。

本来であれば外科的な処置により足の切断、もしくはメスなどによって患部を大きめに切除しなければならないような場合でも、マゴットセラピーを用いる事によって切除を一切行わずに自分の足を最大限残す事が可能になります。

マゴットセラピーは主に糖尿病性壊疽の治療に使われますが、寝たきりの方に起こりがちな褥瘡(じょくそう、床ずれ)の治療にも用いられる事があります。

ちなみに、「中には羽化してしまう蛆もいるんじゃないの?」と心配する方もいらっしゃると思いますが、蛆は3~4日で取り除かれ治療を継続する場合は新たな蛆を使いますので羽化してハエになるような恐れはありません。

従来の治療に比べ安価であったり麻酔が必要なかったりとメリットも多いマゴットセラピーですが、患部に蛆が這い回る様に拒絶反応を示す方も多く、そういった事もあってか日本ではごく一部の医療機関でしか行われていないというのが実情です。

■マゴットセラピーはハエの幼虫である蛆を用い壊死した組織のみを除去する
■メリットが多いものの生理的に受け付けない方も多いのが実情

マゴットセラピーのデメリットは?

治療が成功すれば切断という事態を回避できるので身体的な負担が少なく、また治療費も他の治療に比べ安価である事などメリットが多いマゴットセラピーですが、デメリットもそれなりに存在しますので、それらについても触れておきます。

■治療部に痛みや違和感を感じる事がある

患部を蛆が動き回るため違和感を感じる事があり、人によっては痛みを感じる場合もあるので状況に応じ鎮痛剤を使用する事もあります。

■臭いが気になる

蛆が壊死組織を分泌液によって分解する過程で臭いが発生し、アンモニアのような臭いを強く感じる事があります。

■高アンモニア血症になる恐れ

蛆が分泌する液のアンモニアによって高アンモニア血症になる恐れがあるとされていますが、マゴットセラピーでは高アンモニア血症になるほど多量の蛆を使う事はないためその可能性はほとんどありません。

■保険適用ではなく自由診療

治療費自体は従来の治療にくらべ安価ではあるものの、平成28年現在保険適用はできず自由診療となり、その費用は壊疽部分の大きさによって治療費は大きく異なり、3~30万円くらいになります。

マゴット治療以外の入院費など他の治療費は保険適用となるため、自由診療だからといって高額な費用を過度に心配する必要はないでしょう。

■日本国内においてマゴットセラピーを行う病院が少ない

日本ではマゴットセラピーはあまり普及しておらず治療を行える病院は全国で数十程度しかないため、住んでいる場所によっては遠くの医療機関に受診する必要が出てきます。


医師に足の切断を打診されたら

糖尿病性神経障害や血管障害によって足などが壊疽に至ってしまった場合、死んだ組織が回復する事はなくむしろ壊疽部分が広がっていきますので、ある程度の大きさの壊疽になってしまうと基本的にその部分は切断する必要があります。

しかし近年は血管移植や拡張という治療法により切断を免れる事もあり、マゴットセラピーも足の切断を回避できる治療法です。

「足を切断するかどうか」「どこから切断するか」といった判断は病院によって異なり、切断を言い渡された後のセカンドオピニオンで切断を免れた例も多く、またマゴットセラピーで切断せずに済んだ方は一度は病院で切断を打診された方が多いのです。

もし医師に切断を打診された場合は諦めず他の病院にかかってみる事やマゴットセラピーについて尋ねてみる事を強くおすすめします。

そう、足を切ってしまってからでは遅いのです。

足先だけであれば自力での歩行も十分可能であるものの、膝下となると義足などが必要になり生活の質が大きく落ちてしまうので、「どうせ切断に至るならダメ元で保存治療を模索してみよう」という気持ちを持つ事が重要です。

ただ、壊疽は放置すると徐々に広がっていくため時間との戦いでもあり、迅速な行動が求められる事も忘れないで下さい。


血糖値を下げダイエット効果もあるSGLT2阻害薬

血糖値降下・ダイエット効果があるSGLT2阻害薬フォシーガ これといった自覚症状がないままじわじわと血管を蝕み続ける糖尿病。それだけに健康診断などで血糖値やHbA1cの高さを指摘されても放置している人は驚くほど多く存在するのが実情。

糖尿病治療は本来であれば食事療法と運動療法を軸に、補助としてインスリン注射や経口薬を用い血糖値を正常値もしくはそれに近い数値での安定を目指します。

そうすることで体重の減少・維持と血糖値・HbA1cの効果が望めるから。しかし現実問題として食事制限や運動療法は決して楽なものではなく、またそれを一生続けなければならないという終わりなき苦行でもあります。

そういった背景に加え、受診するのが面倒くさい、行くたびに医師に「痩せなさい」と言われる…などの理由から病院から足が遠のいている人も多いのではないでしょうか。

しかし、当サイトで口を酸っぱくして述べているように、糖尿病は様々な合併症を引き起こす極めて恐ろしい病気です。血糖値が高い状況はもちろん、糖尿病リスクを高める肥満も放置するべきではありません。

もしどうしても病院に行きたくない場合は、個人輸入代行業者を通じ、日本でも処方されているSGLT2阻害薬「フォシーガ」を購入するという方法も。

SGLT2阻害薬は血液中の糖を積極的に尿と一緒に排出するという画期的な糖尿病治療薬。

従来の経口薬のように細胞内に糖を取り込むインスリンに頼ることなく血糖値を下げられるため、1日250~400kcal相当のダイエット効果があることが複数の臨床試験で実証されています。

それだけに健康な人がダイエット目的で使用する事例が後を絶たないほど。

本来であれば医療機関を受診し、適切な治療と指導を受けたうえで治療薬を処方してもらうべきところ。しかしそれができないようであれば、最低でもフォシーガなどで血糖値や体重の低減を図ってほしいと感じています。

SGLT2阻害薬フォシーガの詳細

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