糖尿病の大敵 タバコを止めるべき様々な理由
せっかくの糖尿病治療が無駄になる恐れがある喫煙
糖尿病を患う方は40代以降になると有意に増えだしますが、その年齢層というのは肥満や喫煙率の高い年代でもあり、「糖尿病だがタバコを吸っている」という方も多いのではないでしょうか。
「喫煙が糖尿病にもたらす悪影響」については以前に書いた事がありますが、「百害あって一利なし」と言われるタバコは糖尿病の治療・予防という観点からも悪い事だらけで何一つ良い事はありません。
ここでは禁煙する事によって糖尿病予防や治療にどういった好影響があるのか、そしてどうすれば上手にタバコを止められるのかなどについて取り上げてみます。
喫煙による糖尿病の様々なリスク
タバコを吸う事による糖尿病リスク増大の原因は多岐に渡り、そのひとつに「インスリンの感受性が悪くなる」というものがあります。
その理由として考えられるのが、肥満でない=肥大化していない脂肪細胞から分泌されインスリン感受性を高めるアディポネクチンというホルモンが喫煙によって減少してしまうというもので、アディポネクチンが減少するとインスリンの感受性が落ちてしまうため効きが悪くなり、結果として血糖値を高める事になってしまいます。
それと同時に喫煙は膵臓のインスリン分泌能にも悪影響を与え、インスリンの量自体が減ってしまうためより血糖値を下げにくくなってしまうのです。
喫煙による腎機能の低下も無視できない問題で、喫煙者は非喫煙者に比べ糖尿病の3大合併症のひとつである糖尿病性腎症の発症や悪化を早めるとの研究結果が報告されており、網膜症など様々な合併症についても発症のリスクが高まる事が分かっています。
糖尿病患者の全体的な死亡リスクも喫煙者と非喫煙者では有意に異なり、1日1箱以上吸う方は吸わない方に比べ死亡リスクは約1.5倍、2箱以上吸うようなヘビースモーカーに至っては2倍を超え、タバコがいかに糖尿病に悪影響を与えるかが見て取れます。
■タバコを吸うことによって合併症リスク、死亡リスクを大幅に上昇させる
糖尿病における禁煙の効果
タバコは糖尿病予防や治療の観点から大きな悪影響を与える事は間違いなく、合併症や死亡のリスクを減らすためにも禁煙に取り組むべきです。
死亡リスクや合併症のリスク、糖尿病の発症リスクに至るまでタバコを吸っているかどうかによって大きく異なり、喫煙者の場合は1日の喫煙本数が多ければ多いほどリスクはより高まります。
そのためタバコを多く吸う方ほど禁煙の効果は高まり、禁煙年数が長ければ長いほど糖尿病の発症リスクや死亡リスクは減り、10年の禁煙でそれらのリスクは非喫煙者と同等まで減少します。
喫煙が死亡率を高める要因は糖尿病だけに留まらないため、上図の35本以上で2倍以上の死亡率というのは他の要因も含まれていますが、そのリスク上昇度合いは非糖尿病の人より大きい傾向にあるのは間違いありません。
その事から糖尿病と喫煙は非常に相性が悪い事が伺え、禁煙の成否が今後の病状や余命に大きな影響を及ぼす事は想像に難くありません。
■非糖尿病の人に比べ喫煙での死亡リスクは高く糖尿病と喫煙の相性は最悪
一刻も早い禁煙への取り組みが生死を分ける
喫煙による糖尿病発症・悪化リスク、死亡リスクを減らすには禁煙が重要になります。
しかし自力での禁煙は成功率が低く、その原因の多くはニコチン依存症によるものなので、禁煙外来などにかかりニコチンガムやニコチンパッチなどからニコチンを補い徐々に依存症から抜け出していくという方法が有効です。
また、近年ではあらかじめニコチン受容体と結合しタバコを吸っても美味しいと感じなくなる「チャンピックス」という飲み薬が禁煙治療の主役となっており大きな成果を上げています。
禁煙外来は健康保険が適用され3ヶ月の通院と処方で費用は2万円ほどとなっており決して安くはないものの、糖尿病やその他の病が悪化する事によって将来的にかかる医療費を考えれば高くはない事が分かります。
ただ、禁煙外来で保険適用となるにはいくつかの条件があり…
- ■ニコチン依存症に係るスクリーニングテストでニコチン依存症と診断されている事
- ■1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上であること(35歳未満は適用されない)
- ■直ちに禁煙することを希望している患者であること
- ■禁煙治療を受けることを文書により同意している者であること
- ■過去に健康保険で禁煙治療を受けている場合、初診から1年以上経過していること
もしこれらの条件を満たせない場合は自由診療扱いにより3ヶ月で6万円ほどの費用がかかる事になり、また病院に行く手間が面倒、病院に行っても基本的にチャンピックスを処方するだけという理由から個人輸入を利用しチャンピックスを購入する方も増えています。
いずれにしてもタバコは糖尿病の発症・悪化リスク、そして死亡リスクまでも高めますから、少しでも早く禁煙に取り組むようにして下さい。
血糖値を下げダイエット効果もあるSGLT2阻害薬
これといった自覚症状がないままじわじわと血管を蝕み続ける糖尿病。それだけに健康診断などで血糖値やHbA1cの高さを指摘されても放置している人は驚くほど多く存在するのが実情。
糖尿病治療は本来であれば食事療法と運動療法を軸に、補助としてインスリン注射や経口薬を用い血糖値を正常値もしくはそれに近い数値での安定を目指します。
そうすることで体重の減少・維持と血糖値・HbA1cの効果が望めるから。しかし現実問題として食事制限や運動療法は決して楽なものではなく、またそれを一生続けなければならないという終わりなき苦行でもあります。
そういった背景に加え、受診するのが面倒くさい、行くたびに医師に「痩せなさい」と言われる…などの理由から病院から足が遠のいている人も多いのではないでしょうか。
しかし、当サイトで口を酸っぱくして述べているように、糖尿病は様々な合併症を引き起こす極めて恐ろしい病気です。血糖値が高い状況はもちろん、糖尿病リスクを高める肥満も放置するべきではありません。
もしどうしても病院に行きたくない場合は、個人輸入代行業者を通じ、日本でも処方されているSGLT2阻害薬「フォシーガ」を購入するという方法も。
SGLT2阻害薬は血液中の糖を積極的に尿と一緒に排出するという画期的な糖尿病治療薬。
従来の経口薬のように細胞内に糖を取り込むインスリンに頼ることなく血糖値を下げられるため、1日250~400kcal相当のダイエット効果があることが複数の臨床試験で実証されています。
それだけに健康な人がダイエット目的で使用する事例が後を絶たないほど。
本来であれば医療機関を受診し、適切な治療と指導を受けたうえで治療薬を処方してもらうべきところ。しかしそれができないようであれば、最低でもフォシーガなどで血糖値や体重の低減を図ってほしいと感じています。
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