インスリン注射の使い方や打ち方とは
インスリン注射って怖いイメージが…
インスリン療法は膵臓のインスリン分泌能がほとんど機能しない1型糖尿病にも使われる治療法である事から非常に効果が高いものの、インスリン注射を自分で打たなければならない事もあって不安や恐怖を感じる方も少なくありません。
こういった事に加えインスリン療法は末期の糖尿病患者が行う治療というイメージも相まってインスリン治療を拒否する方もいらっしゃるほど。
確かにインスリン療法を行うというのはある程度糖尿病が進行している状況ではあるものの、インスリン療法によって厳格な血糖コントロールが行いやすい事、膵臓を休ませインスリン分泌能の回復が期待できる事などから近年は重度でない場合でも積極的にインスリン療法を取り入れる医師も増えています。
しかしそれは自分で行う注射への不安や恐怖を取り除く理由にはならないので、ここではそんな不安を取り除くためにも正しいインスリン注射の知識を身に付けて頂きたいと思います。
インスリン注射って痛いんじゃないの?
かつてはインスリン注射は右図の上にあるようないかにも「注射」というようなものでした。
これは別の瓶から自分で必要量の薬剤を吸い上げて打つ本当に普通の注射器であり針も太く、それを自分で行うというのは精神的な負担でもありました。
しかし近年は下のペンタイプが主流となり上の注射器は犬や猫用のインスリン注射以外ではあまり見かけなくなりました。
このペン型の注射器は従来のものに比べ針が細く、また短いため深く刺しすぎる心配もなく安全で痛みの少ないインスリン注射になっています。
とはいえ針を刺す以上まったく痛みがないとは言えないものの、針が細い上に筋肉まで到達しない皮下への注射であるためせいぜいチクッとする程度で、使用法の簡単さもあってすぐに慣れてしまうでしょう。
インスリン注射を行わない事によって高まる将来の合併症の可能性とその苦しみを考えれば、ペン型注入器のチクッとした痛みなど微々たるものです。
インスリン注射はどうやって使うの?
現在主流となっているペン型注入器の多くは薬剤の入っているカートリッジをセットし使いますが、1つのカートリッジには概ね300~1000単位分の薬剤が入っていますので、打つたびに新しい針を付けて打つことになります。
インスリン注射を行う手順は…
- ■インスリンの種類によっては薬剤がしっかり混ざるようよく振る
- ■新しい針をセットする
- ■空打ちし空気を抜く
- ■ダイヤルを回し決められた単位にセットする
- ■打つ場所を消毒する
- ■針を刺し注入ボタンを真上からしっかり押し込む
- ■5~10秒そのまま待つ
- ■ボタンを押したままゆっくり針を抜く
- ■使用した針にカバーをし外して捨てる
メーカーや製品によって多少の違いはあるものの、上記が概ね共通する手順となります。
手順を並べると面倒そうに感じるかもしれませんが、何度か行えば慣れてきて自然に出来るようになってくるでしょう。
インスリン注射を打つ場所は?
インスリン注射を打つ場所というのはある程度決まっており、適しているのは上腕、お尻、お腹、太ももとなります。
打つ場所はこれらが推奨されておりますが、皮下脂肪がある場所でちゃんと皮下に打てる場所であれば基本的にどこでも問題ないとされています。
ただ、打つ部位によって吸収されるスピードが異なること、安定した効き目や打ちやすさなどからお腹がもっとも適しており、多くの方が腹壁に使用しておりますが、へその周囲5cmはインスリンの吸収が安定しないため避けるようにして下さい。
また、同じ場所に打ち続けると皮膚が固くなり痛みが無くなるというメリットがあるものの、その場所ではインスリンの吸収が悪くなってしまいますので、必ず毎回2~3cmずらすよう心がけてください。
「それじゃその内打つ場所無くなっちゃうじゃん」と感じるかもしれませんが、1~2ヶ月後であれば前に打った場所でも問題ないため、数ヶ月かけてローテーションするようなイメージ打っていくと良いでしょう。
■同じ場所には打たず毎回2~3cmずらす
インスリン注射は怖いものではない
世界的に糖尿病患者が急増している事もあってかインスリン治療は驚くほど進化をしており、様々なシーンや病状に合わせたインスリン製剤によって低血糖を引き起こしにくくなっており、ペンタイプのインスリン注射は痛みも最小限に抑えられインスリン注射のネガティブな部分はかなり払拭されてきています。
そういった背景もあって重度でない糖尿病でも膵臓を休ませるためにインスリン治療を取り入れたりと、より身近なものになってきているインスリン注射。
ただし、昔より積極的に取り入れられるようになったとはいえインスリン治療を行う糖尿病というのは少なくとも「軽度ではない」事を忘れないで下さい。
「インスリンを打っているから好きなものを食べても良い」と都合よく解釈する方もいらっしゃいますが、インスリン療法や薬物療法はあくまでも食事・運動療法の補助であり、それ以上でもそれ以下でもありません。
生活習慣を見直し食事療法と運動療法で血糖コントロールを行うよう心がけない限り、いくらインスリン療法を行ったところで遅かれ早かれ合併症は現れてくるでしょう。
現在のインスリン注射は末期の患者のものでも痛いものでも怖いものでもありませんが、糖尿病自体は今なお極めて恐ろしい病気である事を忘れず治療に取り組むようにしましょう。
血糖値を下げダイエット効果もあるSGLT2阻害薬
これといった自覚症状がないままじわじわと血管を蝕み続ける糖尿病。それだけに健康診断などで血糖値やHbA1cの高さを指摘されても放置している人は驚くほど多く存在するのが実情。
糖尿病治療は本来であれば食事療法と運動療法を軸に、補助としてインスリン注射や経口薬を用い血糖値を正常値もしくはそれに近い数値での安定を目指します。
そうすることで体重の減少・維持と血糖値・HbA1cの効果が望めるから。しかし現実問題として食事制限や運動療法は決して楽なものではなく、またそれを一生続けなければならないという終わりなき苦行でもあります。
そういった背景に加え、受診するのが面倒くさい、行くたびに医師に「痩せなさい」と言われる…などの理由から病院から足が遠のいている人も多いのではないでしょうか。
しかし、当サイトで口を酸っぱくして述べているように、糖尿病は様々な合併症を引き起こす極めて恐ろしい病気です。血糖値が高い状況はもちろん、糖尿病リスクを高める肥満も放置するべきではありません。
もしどうしても病院に行きたくない場合は、個人輸入代行業者を通じ、日本でも処方されているSGLT2阻害薬「フォシーガ」を購入するという方法も。
SGLT2阻害薬は血液中の糖を積極的に尿と一緒に排出するという画期的な糖尿病治療薬。
従来の経口薬のように細胞内に糖を取り込むインスリンに頼ることなく血糖値を下げられるため、1日250~400kcal相当のダイエット効果があることが複数の臨床試験で実証されています。
それだけに健康な人がダイエット目的で使用する事例が後を絶たないほど。
本来であれば医療機関を受診し、適切な治療と指導を受けたうえで治療薬を処方してもらうべきところ。しかしそれができないようであれば、最低でもフォシーガなどで血糖値や体重の低減を図ってほしいと感じています。
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